ヤンキー老人ホーム体験記

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毎週月曜日にメイドが部屋に来るため、その時間を利用してスーパーに買い物に行く。

いくら年寄りでも三度の食事に使う材料は相当な量になる。

ペルー旅行で買った丈夫なバックパックを背中に両手にプラスティックの袋を下げて、駐車場から3階の部屋に運ぶのはなかなか大変なことだ。

バックパックは一週間分の7本のビールで占められている。

息子が前々から自分の土地にある2軒のうちの1軒が最近空くから移って来い、と言っていたが、もう引越しはコリゴリと、相手にしなかった。

しかし、そろそろそのことについて真剣に考える時が来たように思った。

そう思うと、ここのアラが鮮明に見えてきた。

第一に部屋代が滅茶苦茶だ。

最初1400ドルと言ったのに、今では1620ドル払わされている。

そして人に依って料金が違う。私と同じサイズの部屋に住むメアリィは1500ドル払っているそうだ。

Discountと言う名目で恩着せがましく50ドル引いていると言うが何のためのdiscountかも明細書に書いてない。

次に洗濯機の使用が不便だ。

午前中から3時半までメイドが使うため、住民は週日は午後3時半から10時まで、土曜、日曜は一日中となっているが、各階に2台しかない洗濯機は殆どいつも使用中で2,3度重いランドリー袋を担いで出直さなければならない。

一度7時頃洗濯に行ったが、電機は煌々と点いていても人っ気のまるでない、幅3メートル程の広い、長い廊下は実に不気味で2度とゴメンだと思った。

それに洗濯機で何が洗われているか、考えただけでもゾーッとする。

一度そこで出会った車椅子の女が押し込んだ洗濯物の酷い臭気に圧倒されて暫く物が食べられなかった。

大量の尿が沁み込んだ洗濯物と見えて、昔経験した子供のおむつの10倍くらいの涙が出る程のアンモニア臭だった。  続く