ヤンキー老人ホーム体験記

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人との交流を期待していた私だが、だんだんそれが苦手になってきた。

私を無視する老人は多いが、イヤに人懐っこい老人は要注意だと悟った私は、いつも神経をピリピリさせていなければならない。

だんだん引きこもりになってきている。

それからホームの人事が始終変わる。

マネージャーのマックとドッティが挨拶もなく、ある日突然姿を消した。

お喋りのナンシーによると、マックがある日若いウェイトレスにちょっかいをかけている所をドッティに見つかって騒ぎとなり、彼らはアリゾナの本社に辞めさせられた、との事である。

その本社から来た男が暫くマネージャーをしていたが、そのうちケンと言う若い男が送られてきた。

前に居た事がある、と言うケンガ来てから、次々と辞めていくスタッフが続出した。

笑顔のさわやかなデヴィッドもいつの間にか居なくなっていた。

辣腕かもしれないが、30代後半で独身のケンを私は信用していなかった。

結婚とか、栄転でスタッフが辞める時は週刊のニュースレターに載っていたが、辞めていったスタッフの誰一人として、ニュースレターに載ることなく辞めていった。

入ってきて直ぐ、次々とスタッフを辞めさせたケンを私は独裁者とみなし、信用することが出来なかった。

年寄りにとって顔馴染みの者が突然居なくなる事は精神的に悪影響だ。