「山笑う濃淡の樹林縞模様」
人工林の杉の濃い緑と自然林の落葉樹の萌黄色が縞模様に見える風景は
春の里山のこの時期にしか見られません。
もう少しすると万物全てが緑色となり、縞模様は消えてしまいます。
「杭の立つ工事予定地雉鳴けり」
河川工事のため荒地だったところの木や草が払われ明るくなりました。
そこに棲みついていた小動物が住宅地の方で見かけるようになりました。
春になり明るくなった荒地だったところから雉の声が聞こえてきます。
新しい棲みかを見つけたのでしょうか。
「ものの芽の眼ざめ促し細き雨」
春の雨は万物の眼ざめを促し木の芽草の眼が一気に芽を出します
「てきぱきと花摘む農夫別れ霜」
林檎や葡萄、その他の果実は全て、味も形も良い一個の果物を作るために多くの花や蕾や果実を摘み取ります。
一つ一つ手作業なので、その作業は大変です。
一番先の花摘みは摘み終わった後に霜害にやられて全滅する事もあります。
異常気象の中で霜は絶対大丈夫、と言う頃合いを見るのは難しいです。
「瑠璃色に荒れ地彩る犬ふぐり」
雑草の犬ふぐりの花が満開になろうと誰も気に留める人はいません。
でも良くみると花は可憐でとても綺麗です。
花が群生しているところは瑠璃色の絨毯を敷き詰めたようです。