2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

Mrs Reikoの長編小説                    

邂逅 再びカリフォルニア州 8 狐狩りを止めたグリーソンは、その頃、ラクーン(アライグマ)を捕っていた。 ラクーン狩は夜、犬を放ってそれを探させ、木に登ったラクーンを、下から懐中電灯で照らして、赤く光る目を狙って撃つもので、十メートルほども上か…

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邂逅 再びカリフォルニア州 7 頼子が出た。懐かしい彼女の声を聞いて瑤子は涙ぐんだ。 彼女はすぐ、アンディが死んだでしょう、と言ったので驚いた瑤子は、どうしてそれを、と訝った。 ずっと前、オハラ家の消息を聞きに行った夫に、彼らの家を管理していた…

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邂逅 再びカリフォルニア州 6 子供達の事を考えると、生きるしかない、と決心した。 その為には歯を食いしばってでも大学を卒業しようと思った。 彼女は既に四年制のサンディエゴ州立大学に願書を出して受領され、九月からそこへ行くことになっていた。 五十…

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永遠の別れ 再びカリフォルニア州 5 近くに住んでいたロバートは、オークランドのエミイに飛行機代を送って、葬式に来られるようにした。 朝鮮にいたポールには軍の方から知らせが行き、緊急休暇で二日後に帰って来た。 生まれた時からバプテスト教会に属し…

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永遠の別れ 再びカリフォルニア州 4 一人になったら日本に帰ろう、と瑤子は決めた。 実家にはまだ母親と弟、孝が住んでいた。 日本に帰って英語を教えよう、と決めた彼女は大学卒業の資格を取るため、まず近くの短大の英文学や哲学のクラスに席を置き、学校…

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永遠の別れ 再びカリフォルニア州 3 清潔好きなアンディは、何か臭いものを嗅ぐと、すぐ、ガーッ、ぺッと、唾を吐く癖があり、瑤子は前から気になっていたが、なにも言わなかった。 運転中、イタチの匂いがすると言って、彼はすぐ窓を開けて唾を吐いた。 早…

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再びカリフォルニア州 2 友達のいない瑤子は、沖縄で再会した後、文通をしていた、当時テネシーに住む 博美に勧められるまま、新興宗教の会合にアンディと出席した。 多くの信者が親切にしてくれたが、瑤子の性質はその宗教に合いそうになかった。 沖縄で勧…

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再びカリフォルニア州1 サンディエゴでは、相変わらず機転の利くフィリップが、二.三軒借家を探しておいてくれた。 瑤子はその中から一軒、海岸まで十分ほどの小さな二LDKを借りた。 大きな棕櫚の木が立ち並ぶ海岸への沿道には、赤や黄のハィビスカスが…

Mrs Reikoの 長編小説   戦争花嫁                        

アンディの故郷 ヴァージニア州 11 驚いた親類達には、彼女のアレルギーのためにも、海辺のサンディゴの方が良さそうだから、と彼は説明した。 アンディは役場の許可を取り、休暇で来ていたポールに手伝わせて、一日だけのガレージセールを開いた。 日本から…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 10 エミイが男を連れて帰って来た。 カーニヴァルを転々とするその男は口が達者で、近くからの電話で、トクトクと、「お宅の娘さんを連れて参りました」とアンディに言ったそうだ。 アンディが言われた場所に迎えに行くと、そ…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 9 農業国ヴァージニアでは、農家の豚が時々柵外に出て野生化し、それらが子豚をなし、その群が野山を駆け巡って、畑の作物に被害をもたらすことが度々あった。 そのような豚の群れが、小川の岸辺で野生の三つ葉を食べているの…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 8 出来上がった家の前に、鹿やウサギが入らぬよう、三坪ほどの土を柵で囲い、瑤子はそこに野菜や花を植えた。 アンディは中古のトラクターを買い、家の周りの土地を均し、種々の果物の苗木を植えた。 小川の側の凹んだ土地に…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 7 エミイの二度目の夫アッシュが、彼女と離婚するから引き取りに来い、と言って来た。 彼女はその二年ほど前、水兵のアッシュとカリフォルニアで結婚していた。 除隊した彼の故郷のオハイオ州まで、夫婦は彼女を引き取りに行…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 6 オイルショックが田舎にも波紋を投げかけた。 ガソリンの欠乏と共に、車で使う不凍液や砂糖が高騰した。 アンディは、ガソリンを確保すると共に、不凍液や砂糖を買いだめした。 野生の黒苺がたわわに実り、瑤子たちのほかに…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 5 老父はその後、妹の家に行った後すぐ腎臓を病み、入院してから肺炎を起こして一週間ほどであっけなく死んだ。 オハラ一家は近くの古い酪農家の家屋を借りて移ることになった。 その家の近くには、壊れかけた小屋とサイロが…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 4 父親をどうするか、でアンディ兄弟が兄の家に集まって会議を開いた。 長く父親を預かっていたテッド夫婦は、そろそろ誰かに代ってもらいたがっていた。 姉のルーシイは、ホームの母親の世話で手一杯で父親の世話まで見きれ…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 3 アンディは、毎日車で表通りの新聞受けまで新聞を取りに行き、ついでに、カウボーイが首に巻くような、赤や紺のバンダナが並ぶガラスケースや、だるまストーヴが置かれた、1920年代の映画のセットのような店で、近所の男達…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 2 ヴァージニアでは、あらかじめ打ち合わせておいたアンディの弟、テッドが、出迎えてくれた。 早く落ち着いて子供たちの学校を決めなければならなかった瑤子は、毎日借家探しをした。 二週間後、煙草栽培人の持ち家で、緩い…

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アンディの故郷 ヴァージニア州 1 サリナスの家は住んで見ると次から次と欠点が現れた。 第一に水が悪く、プラスティックのパイプを通ってくる、三十メートルほど崖下の井戸から汲み上げる水は酷い硬水で、軟水タンクを通さなければ使えず、タンクに入れる塩…

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同情的転勤 カリフォルニア州 4 新しい家のために金が必要になったアンディは、フロリダの土地とジョージアの家を処分することにした。 その頃、エミイと結婚した男が、彼女と離婚するから引き取りに来い、と伝えてきたので、夫婦は、オレゴン州のトレーラー…

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同情的転勤 カリフォルニア州 3 ある日元気一杯のロバートが、突然の嘔吐と熱のため入院した。 盲腸と診断され手術を受けたが、すでに化膿していたので、三週間ほど抗生物質を受けながら入院しなければならなかった。 入院中、仕事から帰って夕飯の支度をし…

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同情的転勤 カリフォルニア州 2 留守家族は官舎に続けて住むことができる、と言われて、近くの観光地の高い借家に移転しなくて済み、瑤子は安堵したが、アンディが出発した後、またなにもかもが瑤子の肩にのしかかって来ることが目に見えていて、彼女の心は…

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同情的転勤 カリフォルニア州 1 一週間ほど母の家で過ごしその後、東京の福生の飛行場から米軍機でサンフランシスコに飛んだ。 そこからアンディの次の任地であるカリフォルニア州フォートオードに行き、基地内の官舎に入った。 ロバートが生まれたその基地…

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帰郷 沖縄 6 一家は那覇から東京に飛び、瑤子の実家に向かった。 看護婦をしている妹の路子に手紙で事情を伝え産婦人科の医者を紹介して貰っていたので、すっかり手はずは整っていた。 アンディと瑤子は早速、路子に紹介された産婦人科にエミイを連れて行っ…

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帰郷 沖縄 5 ある晩、エミイとポールを連れて映画を見に行った瑤子夫婦は、そこでワイフ同伴の ホーキンス少佐と出会った。 瑤子が家族を紹介すると、少佐は、瑤子が軍政府で働いてくれて喜んでいる、と アンディに言った。 「たいしたこともできないで」と…

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帰郷 沖縄 4 沖縄の生活が半年ほど過ぎた後、船で知り合ったミスターレイに、あんたほど英語ができたら、Civil Service(国家公務員)の試験を受けると良い、と言われ、瑤子はまず最初に、那覇のタイプの学校に四ヶ月ほど通って資格を取り、すぐ、事務員兼タ…

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帰郷 沖縄 3 エミイがまた島中をほっつき歩き始め、沖縄の中高学生と屯して沖縄の警察に保護されたり、兵隊とオーフリミットの場所でMPに捕まったりすることが絶えなかった。 瑤子が特に心配したのは、彼女が妊娠しはせぬか、ということであった。 父親も…

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帰郷 沖縄2 横浜で一時下船を許されたオハラ一家は、早速タクシーで寿司屋に行った。 母が昔チラシと呼んでいた、甘辛く煮付けた干瓢や椎茸と、紅生姜、錦糸玉子、が入ったものを期待した瑤子はチラシを六人前注文した。 目の前に出された、生魚がいっぱいの…

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帰郷 沖縄1 翌日の早朝、オハラ一家は西に向かって出発した。 アンディが朝鮮に行く前に買った、後ろに荷台がついた中古のフォルクスワゴンの ヴァンが、彼らをカリフォルニアまで運ぶ車であった。 時は1965年の春であった。 道中、アラバマを通過した時、…

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道ならぬ恋 ジョージア州 21 明日出発という夜、瑤子は頼子の家に行って洗濯をして来る、と家を出た。 グリーソンは仕事でおらず、洗濯を終えて暫く頼子と話しをした後、最後の別れを告げてその家を出た彼女は、真っ直ぐ家に帰らず、途中の工場に車を着けた…