2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ヤンキー老人ホーム体験記

11 ホームの方針からマネージャーを始めオフィス勤務の人たちもダイニングホールで私達にコーヒーを注ぐサービスをする。 コーヒーを注いでくれたデヴッドに「サンキュー」と礼を言うと「Don`t touch my moustache」(私の口髭に触らないで)と言って私達を笑…

ヤンキー老人ホーム体験記

10 生来の気性か、それとも心細い彼女の境遇からか、彼女は人に物をくれたがる。 私とつき合い始めてから、直ぐ、日本の店に行ってきたからと、大きなリンゴを二つ持って来てくれた。 それから暫くしてスーパーに行った私が、そこで作られている、出来立ての…

ヤンキー老人ホーム体験記

9 何日かして、私達のテーブルに祖国が私と同じ日本というメアリーがやってくるようになった。 最近大病をして退院して、まだ6カ月だと言う彼女のお腹には大きな手術跡がある。 良く解らないが腸の手術をしたらしい。 病気が発見される大分前から具合の悪か…

ヤンキー老人ホーム体験記

8 私と同じく昼食は軽く、夕食がメインだと言うシャーリーは、他はヨーグルトを食べるだけ、と言うが、一階に住む彼女の窓からの差し入れは、そんなに難しいことではない、 89歳でかくしゃくとしている彼女は、もしかして私と同じくビールくらい飲んでいる…

ヤンキー老人ホーム体験記

8 あちこちの病院を追い立てられた揚句、最後には医師さへ治療を拒んだため、家に連れてきて最後を看取った、と言う。 恐怖からの激しい差別の上、息子の死を見つめながらの生活はどんなにか辛かっただろうかと同情に耐えない。 ご主人は?と聞くと、ずっと…

ヤンキー老人ホーム体験記

6 少ない髪の毛を赤く染めた肥ったオバサンの名はナンシィで73歳、それからもう一人坐っている白髪の老婦人はシャーリィだ。もっとも私も白髪だし、場所柄、白髪は男も混じえてワンサカいる。でも89歳と言うシャーリィのは、たっぷりした立派な銀髪だ。…

ヤンキー老人ホーム体験記

6 それからハタと考え込んだ。私は晩酌をする。 ナニ、たった1缶のビールを夕食前に飲むのであるが、その習慣を主人亡き後の憂鬱・無聊、そして食欲増進のため、毎夕食前必ず実行してきており、それが今日私があるお蔭と、信じている。 案内書には、館内禁…

ヤンキー老人ホーム体験記

5 途中誰にも会わず部屋に入った私は、自宅から持って来た愛用の古びたリクライナーに腰を下ろして、ホッと一息つく。 眼の前には最近買ったばかりのソニーの大きなテレビがデンと控えている。 ホームにはケーブルがついていないので、住民たちは自前で契約…

ヤンキー老人ホーム体験記

4 紹介された老女たちは、ウオーカーで歩くべティとジョーアン(それぞれメキシコ系、)マーナ(白人で殆ど目が見えぬ、)に挨拶後、私は一応私の立場を説明した。 病気のこと、売りに出すつもりのコンドのこと、生まれ故郷の日本のこと、どのような機会で、…

ヤンキー老人ホーム体験記

3 ホームのマネージャーは、マックとドッテイという夫婦で、彼らの下に男女2人、ケリー〔女〕とデヴィッドが、オフィス勤務だ。 マックはユダヤ系のアメリカ人で、ドッテイはフィリピン人だ。 相当の齢になってからの結婚という2人には、それぞれ別なEx(…

ヤンキー老人ホーム体験記

2 ここに、月約1400ドル余の約束で、5月2日に入居した。 それでもいざ入居となったら、Community〔共同〕 ナンとかと言う名目の下に、いきなり700ドル追加を請求された。 これはその時一回だけと言われたが、そんな項目は確かホームの案内書には無かっ…

Mrs Reikoのヤンキー老人ホーム体験記

1 83歳の後家の私は、一昨年の12月まで病気知らずで、主人亡き後30余年の独身生活を謳歌してきたが、突然の激しい眩暈のため救急車で病院に運ばれ、糖尿病と診断され、以来5日間の入院後、それまで住んでいたマンション二階の住居に帰ってきた。 元気…

熟年夫婦のインスブルックスキーツアー^

5 妻は病院に二泊して、その間彼はホテルと病院とをタクシーで行き来し、妻の退院を待ちました。 医師の診断書、航空券、その他諸々の手続きを待ちながらホテルで二泊して帰国の日を向かえました。 この間の静養は過度の肉体的、精神的ストレスによる彼の体…

熟年夫婦のインスブルックスキーツアー^

4 翌日、ガイドは病院に付き添ってくれることになり、彼ら夫婦と共にタクシーで病院に向かいました。 チームのメンバー達は前日と同一行動で、一日中スキーの予定だったので、皆スキー場に向かいました。 旅慣れている人の多いチームなので、ガイドが居なく…

熟年夫婦のインスブルックスキーツアー^

3 スノーモビルに乗せられて村の診療所に向かいました。 付き添いのガイドと夫はその後を追いシャトルバスに乗り診療所に向かいました。 診療所の医師は一目診ただけで街の病院に連れていくように指示を出しました。 直ぐ救急車が呼ばれて患者は救急車に乗せ…

熟年夫婦のインスブルックスキーツアー^

2 近くだと思える所に行くとネオンも見えなくなり、迷宮の中に迷い込んだようです。 歩いて歩いてへとへとになった頃、やっと見覚えのある凱旋門が見えてきました。 この凱旋門だけは記憶にあったのです。 その頃、ホテルでは、ガイドをはじめツァーの仲間た…

熟年夫婦のインスブルック・スキーツアー

1 言葉も通じない外国のスキーリゾート地、小さな村の駅に、スキー板三人分を持って彼はシャトルバスから降ろされました。 足元はスキーブーツのままです。 夕闇がせまりネオンサインがちらほら灯り始めました。 見渡してもタクシーらしきものも見えず、寒さ…

チャボ物語

8 不眠不休で卵を抱き続けて二十一日間が過ぎました。 そして生まれたのです。 チャボ吉そっくりな真っ白いひよこが四羽生まれたのです。 チャボ子の顔にやっと安どの色が浮かびました。 四羽のひよこの親になったチャボ子はひよこたちを外敵から守るために…

チャボ物語

7 チャボ子は雨をさけることもせず、ただぼうぜんと雨の中にたたずんでいます。 生活のすべてを夫にゆだねていたチャボ子には全く生活能力がないのです。 食べることすらも夫が居なければどうして良いのかわかりません。 はたしてこれからひとりで生きていけ…

チャボ物語

6 驚いたチャボはけたたましい鳴き声をあげてチャボ子は柿の木のてっぺんに、チャボ吉は隣家の屋根の上に飛び上がりました。 チャボ吉もチャボ子もムクの手の届かない所に逃げてしまうと、大きくなってケーケケケと盛んに威嚇していました。 あまりのけたた…

5 小さくて、いかにもたよりなげに見えるのに、何かと言うと、直ぐ人間の手を借りる チャボたちがしゃくにさわってたまらないらしく、猫もしつこくチャボたちを追いかけます。 追いかけられるたびに、チャボたちはバタバタと羽音を立てて屋根の上や高い桐の…

チャボ物語

4 チャボ吉の愛妻ぶりは全く涙ぐましい程です。 彼らの好物はミミズやアリのような小さな虫や、カナリヤのかごからこぼれるアワ粒やヒエの実ですが、そういうごちそうをチャボ吉が見つけると、必ずコーコココとチャボ子を呼んで先に食べさせるのです。 何処…

チャボ物語

3 夕方いつものように背伸びをしては、ヒバの木に飛び上がりそうにしたので、ヒバの木を板でかくしてしまいました。 すると彼らは「コ、コココ」と情けなさそうな声を出して、仕方なく地面をつっつき餌をついばむふりをするのですが、また少しすると背伸びを…

チャボ物語

2 チャボたちのねぐらには、黄色い三角屋根の小屋が、用意されていましたが、ここがねぐらとして、使われるまでには、少し時間がかかりました。 太陽が、西にまわるころ、人間の眼には、まだ、じゅうぶん明るいのに、彼等には、日没が近いのが解るのか、うろ…

チャボ物語

1 雪のように真っ白で、大人の両手にすっぽり入ってしまうような、雄と雌のチャボが、この家にやってきたのは、北国の長い冬が終わり、草も樹も芽吹き始めた春の一日でした。 れんぎょうや梅がいっせいに花を咲かせ、たんぽぽや、いぬふぐりの黄色や紫の花が…

母と息子のセンチメンタルジャーニー

20 家中家具がそろっていて、台所などフォークや布巾の類まで、きちんと整頓されて置かれてあり、私がすぐ住めるようにしてくれてあった。 国立公園の近くにある、彼らの別荘の私の部屋にもキチンの物が一応揃えられていて、私はただそこに行って、寝るだけ…

母と息子のセンチメンタルジャーニー

19 ジムのイラン人の嫁さんは、有能なカイロプラクターだ。 彼女は、頭が良く、なんでもプロフェッショナルにやりこなす。 テレビやラジオにも出て講演する彼女は、縫物、パッチワーク、大工仕事、なんでもござれだ。 動物が大好きで、犬、猫、家鴨、鶏を、…

母と息子のセンチメンタルジャーニー

18 彼等の住居で、私の部屋として与えられた部屋は、彼のオフイスにもなっていて、コンピューターや他の物が置かれてあり、彼が時々使用するため入って来る。 それで、私は起き上がる度にベッドを整えなければならない。 これがまた、イヤに背が高いベッドで…

母と息子のセンチメンタルジャーニー

17 シャーリーの前夫は金持ちだそうで、彼女は20年も前に離婚したその夫から、未だに高額の慰謝料を受け取っていると言う。 慰謝料を失わぬ為にのみ、トムとは正式に結婚もせず同棲を続けているそうだ。 仕事で得る収入と慰謝料で、彼女は相当豊かな生活をし…

母と息子のセンチメンタルジャーニー

16 前席に取り付けられたモニターでテレビのプログラムや映画を見続け、たまに居眠りしている間に、飛行機はスムースにロスの飛行場に着陸する。 ロスでは車椅子を頼まないことにしていたので、私たちは他の乗客と共にゆっくりと飛行機の出口に向かう。 そこ…