Mrs Reikoの短編小説「ジョージアの嵐」

 

           ジョージアの嵐

  トーマスは呆気にとられていた。彼には突然のタニアの変化が理解できなかった。

彼はただ、子豚をくれと彼女が言ったとき、金はあるのかと聞いただけだった。

タニアは無言で、止めてあった軽トラックに乗り込み、煉瓦色の湿った地面に深く掘られたタイヤの溝をますます深くしながら、Uターンすると行ってしまった。

「なんだ、あいつ!」

農場のゲートを苦労して閉めながら、エーモスは罵った。

体重200ポンド、背丈6フィートの大男の背より高い農場の巨大ゲートは、

飼料配達の大型トラックの運転手にあちこちぶつけられ曲がって倒れそうになっている、忌々しいゲートの開け閉めは彼を憂鬱にする。

早く直さなきゃ、とは思うが他の仕事が優先されてつい後まわしになっている。

タニアは彼の高校の同窓生である。

三十年以上前のコロンブス ハイスクール時代 彼女とは話しもしたことがなかった。

二年前、配管工の夫と離婚してこの地に戻ってきてから、度々彼女を見かけるようになった。

トーマスの養豚場から5マイル程南の小さな家で芝を刈ったり、洗濯物を干したり、道端にある棒杭に取り付けられた郵便受けをチェックしている彼女をよく見かけるようにまった。

彼が両親の家に行く途中にその家はあった。

 最初はお互い手を振るだけだったが、最近は軽トラックに座った彼が窓ふちに腕を置き、郵便受けに寄り掛かった彼女と、共通の友人たちの噂話などをして過ごす時間は長時間に及ぶこともあった。

その朝、彼が農場のドライヴウエイに軽トラックを乗り入れた時、タニアがホーンを鳴らして後ろに続き車から降りて来た。