チャボ物語

2

チャボたちのねぐらには、黄色い三角屋根の小屋が、用意されていましたが、ここがねぐらとして、使われるまでには、少し時間がかかりました。

太陽が、西にまわるころ、人間の眼には、まだ、じゅうぶん明るいのに、彼等には、日没が近いのが解るのか、うろうろと、夜のねぐらを、探しはじめました。

前に住んでいた、鳥小屋が、恋しいのか、それに、似ている物置や、家の、軒下をぐるりと、まわってみます。

次は、庭の中の中位の高さの木を、一本一本探しはじめます。

木の下に来て、背のびをして首をかたむけ、良さそうだな、と思う所には飛びあがってみますが、どうも落ち着かない、と思うのか、すぐ下りて次に向かいます。

そのうちに、足場もしっかりして、二羽並んで止まれて、繁った葉ですっぽりと姿を

隠し、雨もしのげるという格好のヒバの木を探しだしました。

それからは毎日、夕方になるとは、そのヒバの木に飛び上がり、そこをねぐらと決めてしまったようです。

 せっかく用意された三角屋根の家がいつまでも使われないので、何とかして、そこに追いこんでみることにしました。  続く