16
あまり金を持たぬナンシーはセックス提供者でトムは金持ちの女を物色中であり、そこへ私が飛び込んだ、と言うのだ。
私は金持ちではない、でも、手持ちの自宅は修理中で貸すか、売るかは、まだ未決だとは、最初にナンシーに会った時に言った事がある。
そういえばつい最近ナンシィが突然自宅は売る事にしたのか?と聞いた事がある。どうして彼女に興味があるのか不思議に思いながらも、いまだ考慮中だと答えた。
売れば纏まった金が入るし、貸しても当地では2千ドルの家賃が毎月入る事は確実だ。つまり私はカネモチなのだ。
空軍に居た事のあるナンシィはveteran(旧軍人)であるが、reteree(退役軍人)ではない。
つまり旧軍人として色々恩典はあるが、年金は出ない。
そのため彼女はホームでも、2人部屋に住んでいて毎月600ドルしか払ってないそうだ、
2人部屋と言うのは小さめな2室が並んでいて、真ん中にドアがあり、テレビと電話が共通だとの事。
私より、数カ月ほど前に入居した彼女はルームメイトを探しているが、いまだに見つからず、その間彼女は空室の隣りに住んでいる。
「いつまでも見つからない方がいいね」と私は冗談を言った事がある。
食堂の中央部に陣取っているメアリーは話しかけるといつも笑顔を返す愛想のよい彼女は一応人気者だ。
次の昼飯時に又トムが私たちのテーブルに居るのを発見した私は「今日はメアリーのテーブルに行くね」とナンシィに断って隣のテーブルに移った。
メアリーのテーブルには話をしているのを見た事がない、沈黙女が座っている。
「ここに座ってもいいですか」とその女に断ったが反応が無い。
アメリカ人が同席なので始めは英語で会話したが、彼女はいつまでたっても会話に乗って来る様子を見せなかった。
メアリーと話しをしようとすると、部屋中の人たちに聞こえる程、大声を上げなければならないので、彼らの殆どが解さぬ日本語に切り替えた。 続く