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金属製のドアを突然ノックする音で、彼は跳ね起きた。
自ら戸を開けて戸口に立ったシェリフ・バートンと、背後のハウエル副官が、彼のボンヤリした目に入った。
トーマスは両人を良く知っていた。
彼らとは、よくゲートの前で談笑する仲であった。
だがその日、彼らは笑っていなかった。
痛みを忘れたトーマスはベッドから跳び下り、危うく失神するところであった。
「誰が君たちを呼んだんだい?」一本脚でヨロヨロ立ちながらトーマスが聞いた。
「ギャルビイ・スミス」 バートンが固い表情で答えた。
「トーマス・クレイトン、武器をもってギャルビイ・スミスを襲撃した疑いで
逮捕する」
「ギャルビイ! そうだった、俺が射った奴は!」 トーマスは息を呑んだ。
ギャルビイは以前、彼の農場を手伝ったことがある黒人の高校生で、5マイルほど先の小さな家に、祖母と義兄弟とで住んでいた。
トーマスが毎朝、トラックで向かへに行っていたが、時々、まだ寝ていたこともあったので、最近雇っていなかった。
銃が盗まれた時、トーマスは、そのあり場所を知っていたギャルビイを疑った。
それである日、道端を歩いている彼を見かけたトーマスは、車から跳び下りて、彼の胸ぐらを掴んだ。ギャルビイは勿論盗みを否定した。
「なんだって?ギャルビイ!」 トーマスがまた叫んだ、
バートンは注意深くトレイラーの中を見回し、ベッドの向こう側に手をのばして銃を取り、銃口を嗅いだ。
「躓いて、誤って引き金を引いてしまったんだ。」
「彼は家で弟のジョーと猟犬を囲いに入れているところを、怒り狂った君が現れて、射ったと言った」”
「ウソだ!彼はここにいたんだ。彼ともう一人のニガーが!」
「それは裁判官が決める事だ。レッツ ゴー!」