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不眠不休で卵を抱き続けて二十一日間が過ぎました。
そして生まれたのです。
チャボ吉そっくりな真っ白いひよこが四羽生まれたのです。
チャボ子の顔にやっと安どの色が浮かびました。
四羽のひよこの親になったチャボ子はひよこたちを外敵から守るために前にもまして緊張が続きました。
眼も耳もピーンと張りつめ、ちょっとした物音も聞きのがしません。
ひよこたちから片時も眼をはなさず注意深い眼をむけ、慈愛にあふれたまなざしをそそいでいます。
チャボ吉がチャボ子を守ってくれたのと同じようにして、ひよこたちを育てています。
チャボ吉の居た頃の美しさも気位の高さもありませんが、チャボ子は立派な母親になりました。
チャボ吉の残してくれた四羽の遺児を育てるために雄々しく生きています。
完