熟年夫婦のインスブルックスキーツアー^

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スノーモビルに乗せられて村の診療所に向かいました。

付き添いのガイドと夫はその後を追いシャトルバスに乗り診療所に向かいました。

診療所の医師は一目診ただけで街の病院に連れていくように指示を出しました。

直ぐ救急車が呼ばれて患者は救急車に乗せられましたが、付き添いは乗る訳にはいきません。

言葉の通じるガイドが付き添うことにして、彼は一人でシャトルバスで病院に向かうことにしました。

そこで三人分のスキー、ストックが彼に託されて、彼はスキー場に戻りメンバーと合流するように言われました。

そこから彼の受難の時が始まったのです。

最初に来たシャトルバスに乗り、行く先を言うと運転手は怒って「違う」と言って彼を降ろしたのです。

次に来たバスに乗り行き先を言うと運転手は「OK,OK」と言ってそのまま走り次のバスストップで止まり、向こうからやってきたバスの運転手に何か話し、彼に乗り換えるように促しました。

そのバスの運転手にホテル名を告げて安心して乗っていましたが、次々に乗客は降りて行き彼一人になりました。

そのまま乗っていると、バスは駅前に着き、ここが終点だと言って降ろされたのです。

 

下腿骨骨折と診断された妻は明日手術することが決まり、車椅子使用で、今日はホテルに戻っても良いことになったのだそうです。

靴を履き替え水分補給した彼はやっと人心地がつき、朝食以来、水、の一滴も口にしていなかった事に気づきました。

空腹なはずなのに、食欲も感じないままメンバーと一緒に遅い夕食をとりにレストランに向かいました。

何を食べてるのか、味も分からないまま食事を終えた後、ガイドと一緒に駅にスキー板を取りにいって彼ら夫婦の長い長い一日が終わりました。  続く