ヤンキー老人ホーム体験記

私と同じく昼食は軽く、夕食がメインだと言うシャーリーは、他はヨーグルトを食べるだけ、と言うが、一階に住む彼女の窓からの差し入れは、そんなに難しいことではない、

89歳でかくしゃくとしている彼女は、もしかして私と同じくビールくらい飲んでいるかもしれない。イイなあ。

 

ビールでは頭を悩ました。

開放的に見えるアメリカ社会なのに、案外、保守的思想も根強くはびこり、私が見た所

ワインを飲む女性は上品で、ビールを飲む女は下品、と言う定評が社会にあるようだ。

若い女が飲めばアバズレ、年寄りの女はバカ扱いだ。

そんな風潮を感じる私は、なるべくビール愛飲は公表しないようにしている。

それで、どうしたら三階の自室までビールを運びこむかが、当面の問題だ。

子供や孫には出来るだけ頼るまい、と言うのが私の方針である。

スーパーに頼めばここに配達してくれるが、なるべく秘密に運んでくれ、とは頼めない

仕方がない、自分で担いで来るよりほかはない。

この際、ワインに変えようか、とも思うが、やはりビール以外の酒は飲みたくない。

 

糖尿病になってもう17年経った、と言うナンシィは出てくる料理は人の2倍は食べ

デザートも遠慮なしに食べる。

薬は以前、私が病院で処方されたと同じ物を飲んでいる。

私は退院後約2か月で薬を自主的に止め、後は食事療法で身体をコントロールしている。

入院中朝晩2度の服薬で、膀胱の具合が悪くなった私は、膀胱炎ではないかと思う、と言い、検査の結果そのような事は無い、と言われた経験がある。

その後インターネットでその薬のことを調べたら、その薬を飲み続けた人が、今はダイバー(おむつ)の世話になっている、書いてあったので、それ以来服薬を止めた。

私にそっとダイバーを使っているんだ、と告げたナンシィに私は何も言わなかった。

    続く