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音のする方を、見ると、カラスがそばに来ていました。
真っ黒いカラスが、なんだか、見かけないやつが、来たなあーとでもいうように、まこの方へ、近づいてきました。
「カラスさん、こんにちは、今日は、私もなかまにいれてね」
「カアカア、なんだおまえ、羽もないのに、よくここまで来たなあ」
「カラスさん何してるの?」
「何をしているって?おれたちはいつも、いつも食べ物を、探してこうして飛びまわっているのさ」
「ふーん、こんな高い所から、よく見えるわね」
「カアー」カラスは一声鳴くと、急降下で、地上めざして飛びさっていきました。
何か、食べ物を見つけたようです。
カラスが去ると、こんどはキュルキュルギャーと、にぎやかな、鳴き声が、聞こえて十羽くらいの群れ鳥が近付いて来ました。
ムクドリです。
そのなかの一羽が「おや、まこちゃんじゃないか、まこちゃん、こんにちわ」
「え、どうして私を知ってるの?」
「まこちゃんのお家の庭で会っただろう。まこちゃんのお父さん、庭に餌台を作って、りんごやひまわりの種、ごはんつぶなどを、ぼくたちのために、置いてくれるだろう」
「え?あそこにきてる、ムクドリさんなの?」
「そうそう、このあいだは、助けてくれてありがとう」
もう一羽のムクドリが話しかけました。
「ほら、私たち、餌台においてあったりんごがとてもおいしかったので、むちゅうで食べていたの、そしたらまこちゃんが、お家のなかから、大きな声で、ねこよ、
ムクドリさん、逃げてーって教えてくれたでしょう。
あのときは、ほんとに助かったわ」
「ああ、あのときのムクドリさんたちなのね」
「そうだ、今日はあのときの、お礼に、ぼくたちの国に、招待するよ。でも、そこは人間たちには、ぜったい秘密の場所だから、お父さん、お母さんにも言っちゃいけないよ。なにしろ、人間たちときたら、僕たちの国を断りもなく平気で荒らしてしまう悪い奴がいるからね。」
言いながら、ムクドリたちは、まこの乗っている凧を、とり囲むようにして、どんどん山の方へ、飛んでいきます。
「ここ、ここ、さあ静かにね、凧さん、気をつけて」
そこは、きりたった山と山の間にほそい谷川が流れ、
空を飛んでこなければ、歩いては、とても来られないような所です。 続く