Mrs Reikoの短編小説「ジョージアの嵐」

22

トーマスはホースをホールダーに架け、広場に向かって坂道を上り始めた。

 「ランチは食べたの? もしまだなら、なにかスーパーや牛乳屋から貰ってきたものがあるよ。 知ってるだろ、ガーべジ(ごみ)、」彼は笑って聞いた。

 「ノー、あなた、私と一緒にホワイト・タワーに食べに行かない?そこはあなたの好きな場所だと、キクが言ってた。 私のおごりよ」

 「行けるけど、俺の着てるもの、、、」トーマスは泥だらけの服を見下ろした。

「あなたが構わなければ、私は構わない」

 トーマスはホワイト。タワーに日本人の女と一緒に居る自分を想像した。

そこで働いているウエイトレスや、食事をしている近所の男たちは、彼らを凝視することであろう。

 彼らが俺のランチ代を払うわけじゃなし。

 「レッツ ゴー!」彼は振り返って由美子を促し、歩き始めた。

 「私、帰ってくるのが待ち遠しかった。キクと会うことが、そして、あなたとも、、、」 由美子はチラと彼を見た。

 「どうして俺と?」 驚いたトーマスが聞いた。

 「どうしてか、知らない。 多分あなたの率直さが好きなのよ」

 彼女が笑った。

 「あなたはまるでMountain man(山男)、古いアメリカの開拓時代の小説に出て来る男みたいだから」

 「Uncouth(粗野)な?」

 「ノー、Rough and ready(行動的な野人)」 彼女が微笑んだ。

 「どこが違うんだ?」トーマスも笑顔で答えた