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ホワイト。タワーは農夫やセールスマンで混んでいた。
「あら、トーマス、お友達は誰?」
顔見知りのウエイトレスが、由美子を頭のてっぺんから足の先まで見ながら聞いた。
「ママの友達だ」
そして、由美子になにが欲しいかも聞かず、いつものハンバーガーとコークを、注文した。
彼女はシェフのサラダとダイエット・コークを頼んだ。
「賑やかな所ね」
トーマスは彼女が農場で言った言葉が頭から離れず、無口になっていた。
彼女に惹かれていることを、知られたくなかった。
帰途、トラックの中で彼らはぎこちなく黙っていた.トーマスは由美子の言葉にこだわっていた。
彼女も、何か思い詰めているようで無言だった。
彼らは由美子の事故の現場を通りかかった。
「君は死んだみたいだった」 トーマスがその場を指差した。
「私も死ぬかと思った。あなたが来てくれて、本当に良かった」
結局、誰かが来たサ」トーマスが真面目な顔で言うと、彼女は微笑を返した。
農場で、二人がトラックから降りた時、トーマスが何気なく言った。
「じゃ、また後で」
「後って、いつ?」
由美子の答えが彼を驚かした。
「エーッと、いつでも。また会った時」 彼は咳をして、口ごもった。
「明後日、朝早く来られるわ。豚に餌をやったりして手伝う」
「君がそうしたいなら」 トーマスは彼女を見た、
「あっちにいて、みんなの面倒をみなくても良いのかい?」
「午後までは大丈夫」いたずらっぽく由美子は微笑した。
「私はオリンピックが始まる前に殆どの仕事をしたの。何か起こった時のため、ゲームの間そこにいなければならないけれど。でも、たくさんの通訳もいることだし、、、」
「どうでも君の好きなように」
トーマスは由美子の返事を聞かず歩き出した。