年末に娘一家が帰省した時の話しです。
社会人二年生の男の孫が都合で遅れて家族とは別に一人で帰ってきました。
そろそろ着く頃と、夕食の支度を終えて待っていましたが、時間が過ぎてもなかなか来ません。連絡も全くありません。
どうしたのだろう、と親がスマホでメールしても返信が無いので、私にまでメールしてみて、と言います。
(という事は、都合の悪い時は親を無視する場合もあったという事?)
さっぱり連絡のつかないまま、予定時刻より、1時間位過ぎた頃、やっと現れました。
新幹線を降りた後、当然タクシーで来ると思っていたのに、何と歩いてきたのだそうです。
夏道だと若者の足で30分もかからない道のりですが、冬は、夏のようにはいきません。
除雪した雪が道の両側に50センチ程積まれ、舗装のコンクリートを削らないための除雪なのか、車道に数センチ残された雪が昼間の太陽で溶けて轍が出き、シャーベット状態になった雪道は夜になり、気温が下がると、そのまま凍結してしまいます。
誰も除雪する人の居ない歩道は、積雪の上に車道から除雪された雪も崩れてきて、その上をたまに歩く人が居るらしく40センチ程の雪道にズボッズボッと足跡だけが残されています。
そんな道路と知ってか知らずか、若者は短靴のウォーキングシューズ(防水だそうだけど)にロングコートで歩き出したのです。
その日は気温-7℃、風やや強しで、体感温度は-10℃以下だったのではないかと思われます。
家を出る時は十分充電してきたスマホは低温であっという間にバッテリー切れ。
誰とも連絡がつかなくなったのです。
暗い夜道を一時間。ズボッズボッと雪道を漕いで、じいちゃんばあちゃんの家に来てくれたのです。
歩いている間は寒くはなかったそうです。
スマホはこの上もなく便利だけど、便利すぎてスマホだけに頼っていると、何かの都合でそれが機能しなくなった時、非常に困るのではないかと思うけど、若者はあまり困ったとも思わなかったようで、依然スマホ様様で何より大事なのは、スマホなのです。