コロラド州 3
アンディはドイツでの上司の薦めもあって、コロラドへ着いた後、看護兵に職種を変えていた。
階級はそのままでも看護兵として一から始めた彼に、ウイスコンシン州のキャンプマコイという所で演習する予備兵たちの衛生兵として、三ヶ月間行くよう、命令が出た。
ちょうど夏休みでエミイの学校もなく、一家五人は名残惜しむ博美の家族を後に
車の後ろに取り付けた小さなトレーラーに少しばかりの家財道具を積んで、出発した。
小学校に入学したエミイの通知簿は、瑤子が心配した通り芳しくなく、長いこと気がかりであった事実が、じわじわと表面化するのを感じ、瑤子は憂鬱であった。
アンディはたいして気にもせず、いまに良くなるサ、と言っていた。
当時のアメリカ人の、学校に対する無関心を見慣れていた瑤子は、彼の楽天的見方が別に異常ではない、とは思ったものの、彼女の気は晴れなかった。
その頃のアメリカでは、落第など日常茶飯事で、二度も落第したことを自慢げに吹聴する者も居た。