Mrs Reikoの 長編小説   戦争花嫁                                  

                同情的転勤 カリフォルニア州 1

 

 一週間ほど母の家で過ごしその後、東京の福生の飛行場から米軍機でサンフランシスコに飛んだ。

そこからアンディの次の任地であるカリフォルニア州フォートオードに行き、基地内の官舎に入った。

ロバートが生まれたその基地は、前と違って大分便利になっていて、こぎれいな一軒屋の官舎から歩いてPXやカムセリにも行けるようになっていた。

ロバートの生まれた旧式なバラック建ての病院はそのままで、アンディはそこに勤め出した。

瑤子も直ぐカムセリのオフイスで働きだした頃、博美夫婦が五人の子供を連れて転がり込んできた。

二十年で軍隊を退役した彼女の夫は、酒は飲まなくなっていたが、自由を楽しむなど、暢気なことを言って、大家族でジプシー生活を転々としていたが、金に困ってオハラ家を訪ねてきたのであった。

親子七人、二週間以上も滞在して、瑤子たちが入ったばかりの官舎を散々荒らした後、ようやくコーリンガという所の石油精製所にサムが就職し、一家は移って行った。

エミイは、近くのシーサイドという町の、ロバートと同じ高校の特別教室に、バスで通いだした。

フットボールの試合の時、チアリーダーを見て憧れて、チアリーダーになりたいと言っていた、エミイだったが、学校では活動に参加させなかった。

ある日、同じ学校の普通科の男の子とセックスをしたことが解り、退学となった。

行く所のなくなったエミイは近所のボーリングアレイを男探しの基地にして、毎日違った兵隊とセックスをしているようであった。

アンディは、MPに呼ばれる度に小言も言わずに彼女を引き取りに行った。

エミイを施設に入れよう、とアンディが言って、手続きを取り始めたが、いよいよとなると、その精神病院のような所に彼女を入れることを渋り始め、瑤子もいざとなると決断がにぶり、話しは立ち消えになった。

一方、中学生のフィリップは、クリスマスにアンディに買ってもらった空気銃で、他家の窓ガラスを割ると言う事件を起こした。

家が建て込んでいる基地内で、銃を持たせることを最初から反対していた瑤子は、男の子三人の空気銃を、アンディにゴミ捨て場に捨てに行かせた。

一緒に行ったロバートは、空気銃が捨てられるが早いか拾った人がいた、と言った。

又、小才の利くフィリップは、瑤子がふと、町で見かけて買った純種のスパニエル系の犬に子犬を産ませ、一二匹もの子犬をPXの前で売りさばいた。

子供のこととてMPも大目に見ていたのであろう、別になにも言われず、いかにも可愛い純種の子犬の血統書に情報を書き入れたり、サインしたりして、彼は二週間ほどで全部売って来た。

沖縄から帰ってたった二年足らずのアンディに、また朝鮮に行くよう、指令が出た