Mrs Reikoの 長編小説   戦争花嫁                          

         同情的転勤 カリフォルニア州 4

新しい家のために金が必要になったアンディは、フロリダの土地とジョージアの家を処分することにした。

その頃、エミイと結婚した男が、彼女と離婚するから引き取りに来い、と伝えてきたので、夫婦は、オレゴン州のトレーラーに住んでいた彼女を迎えに行った。

彼らは二年も一緒にいなかった。ケロリとして帰って来た彼女は、翌日からまた

ボーリングアレイに通いだした。

その後も誰彼なしの車に乗ってアメリカ中を渡り歩いていた彼女は、ある時、こともあろうにグリーソンの家に突然現れた。

彼からの電話にアンディが、構わぬから追い出してくれ、と言うと、本当にそんなことをして良いのか、と聞いた。

それまでも、何十回と全米あちこちの、警察、旅行者相談室、赤十字社や、彼女本人から電話で呼び出されて、瑤子たちが彼女の帰宅のために払った金や心労は限度にきていた。

グリーソンは一週間ほどして、五十ドルとオーバーを与え、家に帰れ、とバスのターミナルまで連れて行った、という。

それから彼女はヒッチハイクしてオークランドに戻り、そこでまた別な男と住み始めた。

全米の若者達がヒッチハイクして流れ歩いた時代であった。

 

瑤子の希望を容れた広縁を廻した和風の家が完成した。

和風に建てた家の周りに、日本式の綺麗な庭を作りたくなった瑤子は種々の苗木を植えたり小さな池を作ったりと、ほとんど一人で働いていた。

庭作りに没頭している間は一時でもエミイの事が忘れられて楽しかった。

家を建ててから三年もしない1973年の春、アンディが軍隊生活二十八年余で退役した。

彼が四六歳で瑤子が四一歳であった。